事業紹介各種制度について
2022年4月からの制度
「FIP制度」が2022年4月よりスタート!
「FIP制度」とは、「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略です。
通常の市場価格に補助額(プレミアム)が上乗せされ、市場価格よりその分高く売電できます。
FIT(固定価格買取制度)とは異なり、市場価格に連動して売電価格が変動します。
この「FIP制度」は、すでに欧州などで導入されています。
「FIT(固定価格買取制度)」と「FIP(市場連動型の導入支援)」の違い
FIT制度は、固定価格買取制度の事で、その年毎に決めた固定価格で太陽光発電では、10kW未満の場合は余剰買取10年間(住宅用)、10kW以上の場合は全量買取20年間(産業用)同じ価格で電力を買取る制度の事です。
FIP制度は、市場連動型の導入支援制度の事で、市場価格に補助額(プレミアム)が上乗せされ、市場価格より高い価格で売電できる制度の事です。
「FIP制度」の「FIT制度」との大きな違いは、買取価格が市場連動により変動するという事です。
「FIP制度」導入に至る経緯
「FIT制度」では、①発電した電気を電力会社(送配電事業者等)による買取保証や②インバランスリスクを免除する特例により、再エネ発電事業者は市場取引を免除されることにより、再エネ発電事業への参入障壁を引き下げるという一定の効果があった。
その反面、「FIT制度」の固定での買取価格が、電気利用者(家庭・企業等)から再エネ賦課金という形で賄われるようになっている事から、その負担は2021年度の見込みでは総額2.7兆円におよんでいます。そこで2020年6月、再エネを電力市場へ統合するにあたっての段階的な措置として、電力市場の価格と連動した発電を促す「FIP制度」を導入する事が決まりました。
「FIP制度」の仕組み(太陽光発電の場合)
現行のFIT制度では、電力会社が再エネ電気を買取る際の1kWあたりの単価(調達価格)が定められていますが、これと同じようにFIP制度でも、「基準価格(FIP価格)」が定められます。この「基準価格」は、再エネ電気が効率的に供給される場合に必要な費用の見込み額をベースにさまざまな事業を考慮して、あらかじめ設定されるものです。
FIP制度の開始当初は、この基準価格をFIT制度の調達価格と同じ水準にする事となっています。
あわせて、「参照価格」も定められます。「参照価格」とは、市場取引等によって発電事業者が期待できる収入分の事で、その内訳については、あとで詳しく説明します。
参照価格は市場価格に連動し、1か月単位で見直されます。
この「基準価格」と「参照価格」の差を、「プレミアム」として再エネ発電事業者がもらうのです。
つまり、再エネ発電事業者は、電気を売った価格にプレミアムが上乗せされた合計分を、収入として受け取ることになります。
なお、プレミアムは、参照価格の変動などによって変わってくるため、同じように1ケ月毎に更新されます。
では、「参照価格」の内訳はどのようになっているのでしょうか?
参照価格は、次のようにして決まります。
参照価格(市場取引などの期待収入)=①「卸電力市場」の価格に連動して算定された価格+②「非化石価値取引市場」の価格に連動して算定された価格ー③バランシングコスト
電力の取引がおこなわれる市場としては、「卸電力市場」の他、「非化石価値取引市場」もあります。「非化石価値」とは、石油や石炭などの化石燃料を使っていない「非化石電源」で発電されれた電気が持つ、「環境価値」の一種です。再エネ電気にも、この「非化石価値」があります。このため、再エネ電気の市場取引での収入は、①卸電力市場で電気を売って得た収益+②非化石価値取引市場での収益となります。
また、FIP制度では、再エネ発電事業者は発電する再エネ電気の見込みである「計画値」を作り、実際の「実績値」と一致させることが求められます。これを「バランシング」といいます。バランシングにあたり、計画値と実績値の差(インバランス)が出た場合には、再エネ発電事業者は、その差を埋めるための費用をはらわなければなりません。これは、FIT制度では、再エネ発電事業者には免除されていたことです。
このように、FIP制度では再エネ以外の他の発電事業者と同じようにバランシングをしなければならない為、インバランスにかかる費用に配慮し、その分をプレミアムの一部(バランシングコスト)として手当てする事にしています。
「バランシングコスト」については、経過措置として太陽光において2022年度の開始当初はkWhあたり1.0円を交付し、翌年度からは少しずつ金額を減らしていく事になっています。
「FIP制度」事業者の収入の算定
A:FIP事業者の収入=B:市場収入+C:プレミアム
B:市場収入=電力市場で電気を売った収入=(売った電気の収入)+(売った非化石価値の収入)
C:プレミアム=(基準価格(固定)ー参照価格)×kWh
B:市場収入とは、再エネでの市場取引での収入で、①卸電気市場で電気を売って得た収益+②非化石価値取引市場での収益
C:プレミアムとは、市場価格に対して上乗せされる補助額の事です。【毎月算定されます。】
- プレミアム(補助額)を算出する為の基準価格は、FITのように20年間固定になる予定です。基準価格=FIPの売電単価の基準となる価格=FIT単価(因みに、2022年度は、10円になる予定です。)
- 参照価格=前年度年間平均価格+(当年度月間平均-前年度月間平均)+非化石価値市場収入‐バランシングコスト(固定)
- バランシングコストとは、電気を計画通りに供給出来なかった際に必要になる「インバランス料金」や「インバランス料金を削減する為の運用コスト」の事です。
FIP制度がもたらすメリット
FIP制度においては、再エネ発電事業者はプレミアムをもらうことによって再エネへ投資するインセンティブが確保されます。さらに、電力の需要と供給のバランスに応じて変動する市場価格を意識しながら発電し、蓄電池の活用などにより市場価格が高いときに売電する工夫をすることで、より収益を拡大できるというメリットがあります。
再エネ発電事業者が電力の需給バランスを意識した発電をおこなうにあたり、今後、蓄電池の積極的な活用や発電予測精度の向上の取り組みがすすみ、再エネが電力市場に統合されていくと考えられます。
又、FIP制度の下で、必ずしもすべての再エネ事業者がバランシングを行うことができるとは限らないことから、小規模な再エネ電源を束ねて蓄電池システムなどと組み合わせて需給管理を行い、市場取引を代行するといったような「アグリゲーション・ビジネス」の発展が期待されます。このアグリゲーション・ビジネスの活性化のために、FIP制度の下でも、バランシングの組成を柔軟に行う事が認められており、FIT制度からFIP制度に移行する際のインセンティブが設けられています。
FIP制度のデメリット
- FIP制度には、バランシングコストを考慮した運用になるので、運用が難しくなる点
- 価格が固定ではなく、市場価格により変動する為、利益の見通しが立て難い点
上記のデメリット解消する方法として、アグリゲーターに代行をお願いする方法があります。
アグリゲーターとは、発電事業者と電力市場の間に入り、電気の需給管理をする役割を代行する業者の事です。(アグリゲーターに代行を依頼する場合には、手数料がかかります。)
FIP認定条件
FIP認定条件は、50kW以上(高圧・特別高圧)の発電所が対象
新規認定でFIPに参入する場合には、FIT認定が得られる発電所が対象となり、FITとFIPどちらかを選択できます。
既存のFIT認定されている発電所
50kW以上の発電所で希望すれば、FIPへ移行が出来ます。
2022年7月からの制度
廃棄等費用積立制度が2022年7月からスタート!!
廃棄等費用積立制度概要
・10kW以上の事業用太陽光発電設備が対象で、認定期間(20年)の残り10年間での積立
廃棄費用の積立は、FIT・FIP認定を受けた10kW以上のすべての事業用太陽光発電事業者が対象となります。
又、買取認定を受けた事業者や買取義務をもつ電気事業者が対象となります。(10kW未満の家庭用太陽光発電は対象外)
積立方法には外部積立と内部積立の2つがあります。
外部積立とは、買取価格から積立費用を予め差し引いて源泉徴収的に積み立てる方法。基本的にはこの外部積立が原則となり、電力広域的運営推進機関が積立金を管理します。
外部積立では、買取期間の後半の10年間が積立期間となります。義務化は2022年7月1日から開始されます。
一方、内部積立は発電事業者自身で積立ます。長期的積立ができる責任能力があるかどうかの審査で承認された場合のみ、例外的に認められます。内部積立では、保険や保証サービスの活用も可能とされています。
外部積立費用は、kWhに応じて加算され、認定年度や入札区分で異なる
外部積立の費用は、発電量に応じて加算されます。1kWあたりの積立費用の基準額は、認定年度や入札区分によって異なり、0.52~1.62円/kWh(税抜)となっています。
積立基準額の一覧は下表の通りです。
積立金の取り戻し条件
買取期間が満了し太陽光発電設備を解体・撤去する場合には、電力広域的運営推進機関から積立金を取り戻すことができます。その際は、取り戻し審査を受ける必要があり、申請書や解体を行う事を証明する書面等を提出しなければなりません。
又、買取期間中であっても、発電規模を認定容量の15%以上かつ50kW以上に縮小する場合には取り戻しが認められます。
FIT法が改正されました
2012年7月に施行されたFIT法((Feed-in Tariff):固定価格全量買取制度)が2017年4月に改正されて、改正FIT法が施行されました。
この「改正FIT法」は、再生可能エネルギーを主力電源にするために、長期安定発電事業として、自立した再生可能エネルギーを目指すことを目的としてます。
FIT法の改正は、再生可能エネルギーを日本の主力電源に育てていくために改正されました。主力電源であるためには、長期間、安定稼働させることが絶対条件で、長期安定発電事業として、自立する必要があります。
そのためには、発電事業者には、これまでになかった責務も課されることになりました。
今回、FIT認定の考え方そのものが、設備の認定から事業計画の認定へと変更になりました。
これは、従来のFIT法のもとで既に認定を受けていた案件にも適用されます。
運転開始済みの案件であっても、改正FIT法に従って、2017年9月30日までに事業計画を策定し提出しなければ、権利が取り消される可能性があります。
また、今後は、適切な保守点検や維持管理を怠っている発電所についても、認定取消という可能性がでてきます。
日本は現在、エネルギー基本計画で2030年度時点の電源構成(エネルギーミックス)において、総発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を22~24%に目標を定めています。
しかし、2030年で終わりではなく、それ以降もその比率を落とすことなく継続していく必要があります。今回の改正FIT法が、再生可能エネルギーの長期安定稼働にこだわるのもそのためなのです。
事業者には、長期安定電源としての責任ある担い手として、20年以降40年、50年と長い期間にわたって発電所をしっかりと維持・管理に努める体制づくりが求められています。
産業用太陽光において、FIT期間の20年が終わった後、その発電設備は間違っても、稼働しないまま、ただ放置されているような状況にならないように、しっかりとした計画のもと、適正に撤去する必要がありますが、出来ることなら20年以降も発電事業を継続していき、FIT頼みでない自立した発電事業者になっていくことが、改正FIT法が施行された目的です。
固定価格買取制度(FIT)がスタートしたのは、あくまでも再生可能エネルギーの初期導入を促し加速させるためのものです。
再生可能エネルギーを主力電源化するためには、なるべく早くFITに依存しない世界にしていかなければなりません。
改正FIT法は、すべての発電所に適用され、例外はありません。
改正FIT法の変更点
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
制度 | 設備認定 |
|
認定基準の整備 | 技術基準・関係法令などの遵守が事業者任せ |
|
保守・点検 | 電気主任技術者の点検・承認 |
|
改正FIT法と連動する電気事業法見直し点
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
使用前自主検査の適用拡大 | 2,000kW以上が対象 |
|
設置しないと認定取消しに?改正FIT法で求められる太陽光発電所のフェンス対策とは
改正FIT法で義務化され、太陽光発電をめぐるトラブル防止のためにもフェンスは欠かせないものとなりました。
Q フェンス設置が義務化されたってホントですか?
A ホントです。
改正FIT法で、感電等の事故防止、いたずら等による発電所停止の防止を目的に、発電設備に第三者が物理的に近づけない場合を除いてフェンス設置が義務づけられました。また外部から見やすいように太陽光発電事業を行う者の氏名または名称等について記載した標識を掲げることも義務付けられました。(20kW未満・屋根置きは除く)。設置期限は、旧FIT法で稼働済みの設備の場合は2018年3月31日まで、2017年4月以降に着工する場合は着工時。早急な対応が求められています。
フェンスについては、
- 外部からふれられないように発電設備と十分な距離をとり、
- 容易に立ち入ることのできない高さのものを設置し、
- 金網など第三者が容易に取り除くことができない素材を使う
という、3つの条件をすべて満たす必要があります。これまでこうした義務は無かったため、コスト削減のため未設置の発電所もあり、ケーブルの盗難やいたずらによる発電停止などが発生していました。学校の通学路の近くだと子どもの遊び場になりやすく、感電事故が起こる可能性もあるから、こうした事故などを防ぐためにフェンスが義務づけられました。
パネルの積み増し要注意!(事後的過積載はNG?)
改正FIT法に、新たな規制が加わりました。現在まで、ブームになっていました「過積載」がFIT認定取得後には難しくなりました。今後も認められないわけではありませんが、買取価格がパネル積み増し時点の FIT価格に引下げされることとなります。発電事業者、発電所オーナーは今後事後の過積載を行う場合には注意して慎重に行うことが必要です。
この新規制は、2017年8月31日に交付・施行されたFIT法施行規制改正によります。これまでは基本的に、過積載をいつ行ってもFIT買取価格が変更されることはありませんでした。例えば2017年・21円/kWh、運転開始4年後となる発電所で増設したとしまして、増設したパネルが発電した電力にたいしてもFIT認定取得時の買取価格(2013年・36円/kW)が適用されました。でも、これからはそうはできない状況になりました。
これまでの事後的過積載
過積載とは、「パワーコンディショナの合計出力よりも多い合計出力の太陽光パネルを設置すること」をいいます。
これまでも太陽光発電所の「発電出力」を増加する場合には、変更認定を受け、その時点のFIT価格に変更されることになってはいました。しかし、パネルの合計出力とパワーコンディショナの合計出力のどちら低い方を発電出力として登録するルールのため、実質的にはいくらパネルを増やしても変更認定を受けることはほとんどありませんでした。 そもそも、パネルよりもパワーコンディショナの合計出力の方が小さい設備(過積載)が一般的でした。つまり、後からパネルを増やしても、パワーコンディショナの合計出力を変えない限り、発電出力は変わっていないと見做されていました。したがって、FITの変更認定を受ける必要もありませんでした。
※今回の規制改正でも、計画段階からの過積載は問題とされていません。
「問題あり」とされ規制対象となりましたのは、FIT認定取得後にパネルを積み増す、いわゆる「事後的過積載」です。FIT認定取得後の行為であれば、運転開始前・あとは関係なく規制対象になります。 【10kW以上の太陽光が規制対象】
改正のポイント!
10kW以上2,000kW未満の太陽光発電設備について、太陽光パネルの合計出力を「3%以上もしくは3kW以上増加させる場合、または20%以上減少させる場合」に、その発電設備全体のFIT価格を最新の価格に変更する。 入札の対象となる2,000kW以上の太陽光発電設備については、太陽光パネルの合計出力を「3kW以上増加された場合、または20%以上減少させた場合」に、落札者決定が取り消され、原則として第2次保証金が没収される(入札案件については、9月11日改正)。上記に基づき、太陽光パネルの合計出力を変更する場合には、「変更認定申請」が必要となった。これに伴い、FIT価格はその時点の価格に引下げられる。なお、3%未満かつ3kW未満の増加であっても変更認定申請は必要だが、FIT価格の変更にはならない。
ここでポイントとなるのは次の4点です。
- 増設分だけのFIT価格が引き下げられるのではなく、その発電設備全体のFIT価格が引き下げられます。
- 合計出量の増加だけでなく、20%以上減少させる場合も対象となります。
- 対象となるのは、FIT認定取得後の事後的過積載だけで、認定申請時の計画が過積載であっても問題ありません。
- 10kW未満(住宅用太陽光)は、対象外となっています。
新規制は、改正規則の交付・施行日、つまり2017年8月31日から適用が始まっています。
※過積載は、発電量アップや設備利用率の向上につながりますから、FIT認定申請時にその計画を立てることをお勧めいたします。